生徒さんからの質問「遊牧民てややこしくね?」Vol.1
世界史
2019.08.01
中国史にでてくる遊牧民族っていっぱいいてよくわかんないんですけど…
こんな質問を受けたので、今回は遊牧民族について書いてみます。
全部やってるとえらいことになるので、世界を席巻したモンゴル帝国が登場するまでの内陸アジアの説明でカンベンしてください。
目次
そもそも遊牧民族ってなに?
遊牧民族は「遊牧」をする民族です。以上。
では説明になっていないので、もう少し詳しくみてみます。
僕たち日本人は基本的にどこか1カ所に住んで、生活をします。
この生活スタイルは元々農業をするにあたって、土地が固定されている→住むところも固定されるという図式からきています。
では、遊牧民族はどうか?
日本人(農耕民族)とは逆に、めっちゃ動きます。
彼らは馬やら羊やらを飼っているわけですが、その食料はどうするか?
現代の感覚からすると、馬小屋で餌をやればええやん、となりそうですが、遊牧民が彼らの文化である騎馬民族文化(騎馬って言うのは馬に乗ると言う意味)を生み出したのは、BC7世紀ごろ。
そんなことはできません。
どうしたか?というと、餌があるところまで移動する!
まぁ大変ですよ。
しかも、民族単位で移動しようものなら、餌があってもケンカになりかねないし、そもそも移動した先に餌がなかったら民族が滅びます。
と、いうことで、彼らは基本的に家族や親族単位の小さなまとまりで生活をします。
馬に乗る技術は農耕民なんかに比べてダンチなので、戦闘能力は高いんですが、いかんせんまとまりがないので、集団で行動する農耕民はビビらなくても大丈夫!
なんですが、時折協力なリーダーがでてくると、部族がまとまってしまうことがあります。
これが騎馬民族国家であり、度々中国(農耕民族国家)と対決することになります。
騎馬民族文化の誕生
少し触れましたが、初めて騎馬民族文化を成立したのは、BC7世紀ごろ。
スキタイ人によって確立されました。
彼らは中国史と言うよりも、オリエント史に登場します。
アケメネス朝のダレイオス1世って覚えてますか?
あの時代(BC6世紀)には、強大な力を持つようになり、ダレイオス1世の軍隊を倒すほどになっています。
北方騎馬民族の歴史
それほど強力な軍事力を持つ可能性を秘めた騎馬民族は、度々中国にも侵攻します。
中国では彼らを北狄とよんで、その侵攻を食い止めるため、かなりの労力をさくことになります。
匈奴
初期の争い
BC3世紀ごろ。モンゴル高原で匈奴が力を持つようになりました。
中国が戦国時代のころ、中国北部の秦、趙、燕はそれぞれ長城を築いて匈奴に対抗しました。
この長城は、後に秦の始皇帝が中国を統一した際に1つに繋がれ、万里の長城となりました。
守りを固めた始皇帝は、攻めに転じます。
蒙恬(もうてん)に匈奴を攻めさせ、撃退し、オルドスを奪取します。
が、完全には倒しきれず、頭曼(とうまん)が登場すると、逆にオルドスを奪還されてしまいます。
そして、冒頓単于(ぼくとつぜんう:単于と言うのは族長の意)が登場すると、匈奴は最盛期を迎えます。
漢との戦い
このころ、中国では劉邦が漢を興しています。
中国国内では統一を果たしてイケイケの劉邦(高祖)ですが、白登山の戦いで匈奴にボコボコにされます。
当時の漢は秦の反省を生かし、急激な中央集権化は行っていなかった(郡国制)わけですが、それでもそこは中国統一王朝。
そこまで弱くはないはずです。
遊牧民と言うと、馬にのってのんびり旅をしているようなイメージがあるかもしれませんが、これだけ強力な軍事力をもつということです。
やっぱり馬が強いんですよね。
この敗戦を気に、漢は対外消極策をとるようになります。
しかし、呉楚七国の乱を6代皇帝:景帝が鎮圧すると、中央集権化を進め、7代皇帝:武帝の時代になると、衛青(えいせい)、霍去病(かくきょへい)を派遣し、攻勢にでます。
匈奴の分裂
この結果、匈奴は東匈奴と西匈奴に分裂。
BC1世紀ごろには、西匈奴は東匈奴と漢に挟み撃ちにされ滅亡します。
その後AD1世紀ごろに東匈奴は北匈奴と南匈奴に分裂します。
で、このうち北匈奴は西の方に走っていきます。
まぁ馬なんでね。めっちゃ行きます。
そうして今まで中国の話をしていたのに、急にヨーロッパ史に登場します。
フン人って覚えてますか?
フン人=北匈奴説があって、この人たちが、東ゴート、西ゴート人を圧迫した結果、ゲルマン人の大移動に繋がるんですね。
一方で南匈奴はどうか?
彼らは長城の以南に移り住みます。
農業に転向する人もいたと思いますが、やはり遊牧民族。
騎馬戦闘術に長けているので、傭兵をやったりする人もいたようです。
こうした人たちは戦闘能力を維持しました。
そして、西晋の弱体化を気に304年に漢を建国します。
注意して欲しいのは、漢は漢でも劉邦の興した漢(前漢)とは関係ありません。
当然、後漢とも関係ない。
国の名前なんか勝手につければいいですが、受験生からすると迷惑なはなしですね…
同じような感じで、魏という国もでてくるので注意しておいてください。
少し話がそれてしまいましたが、漢の建国により、五胡十六国時代に入ります。
五胡と言うのは異民族のことですが、匈奴、鮮卑、羯、氐、羌の5つ。
この中でも、鮮卑が重要です。
いったんまとめ
鮮卑の話もしたかったんですが、調子にのって書いていたら長すぎ!って怒られたのでいったんまとめです。
遊牧民族は「遊牧」をする民族です。
その自由な機動力を生かして度々中国に攻撃を仕掛けますが、自由すぎて度々分裂してしまいます。
以下に簡単な匈奴と中国王朝の関係を載せておくので、目を通しておいてください。
(中国王朝は飛ばしているところがあるので、確認しておいてくださいね)
鮮卑以降の遊牧民族については、以下の記事にまとめるているので、見てみてくださいね。
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